消防士のメモ

消防職員8年目のこぜタローと申します。消防職員として必要な知識・技術・経験など日々学んだことを復習するために覚えたいことを書き込んでいきます。目標は1年間上司に叱責されないことです。

三つ打ちロープ(救助用ナイロンロープ)について

消防の定番アイテムであるロープについてまとめてみました。

三つ打ちロープ
耐用年数5年

救助用ナイロンロープの構造
三つ打ち12mmナイロンロープは、原糸等を4回撚り合わせ後に、撚りが戻らないように加熱(110度以上)されてできる。

1回目:原糸(フィラメント)を2本撚り合わせる。
2回目:フィラメントを3本撚り合わせて、単糸(ヤーン)を作る
3回目:ヤーンを25本撚り合わせて、子縄(ストランド)を作る
4回目:ストランドを3本撚り合わせて、ロープができる。

Z撚り=左撚りのこと。JIS規格でも、Z撚りが原則である。
S撚り=右撚りのこと。

ロープの性質 
太さ12mm 切断荷重36kN 伸度52パーセント 軟化度180度 溶点 220度

強度低下の要因

・ロープの使用により磨耗・変形して強度が低下する。
・結索による強度低下
新品ロープ36kN
もやい結び24.1kN(59パーセント)
まき結び 25.0kN(69パーセント)

使用中のロープ27kN
もやい結び17.6kN(63パーセント)
まき結び 19.6kN(71パーセント)

・キンク(よじれ)
ロープがねじれたり、撚りがもどると強度が低下する。ロープを展張する際、ロープを自然にさばき、キンクを作らないようにする。

・せん断
ロープに荷重をかけたままコンクリート等の角でこするとナイフで切ったように切断される。これをせん断という。特に横方向のこすれに弱い。当て布は必須。

・すれ傷
ロープは、カラビナ等との摩擦によってすれ傷が生じる。すれ傷によってフィラメントが毛羽立ち、ロープの強度が低下する。
ロープ同士がこすれあうと痛みが激しいので注意する。

・吸水
ロープが雨水等でぬれると強度が約15パーセント低下する。乾燥すれば強度は回復するが、縮みが生じ、硬くなる。結索による強度低下と重なると、著しい強度低下を招くので不用意にロープをぬらさない。

・紫外線
ロープを長期間、日光に晒すと、硬くなるとともに強度が低下する。ロープは使うときにだし、使用のたびに収納するようにする。

・異物混入
砂等がロープに付着し、荷重をかけたときにロープ内に食い込み、フィラメントやヤーンが切断して、強度低下を招くことがある。したがってロープを引きずったり、靴で踏みつけたりしない。

・繰り返し疲労
荷重をかけたり、除いたりを繰り返すと、永久歪みが生じ、強度が低下することがある。

ロープの安全率
人名に影響する場合 10以上
人名に関係ない場合 6以上

安全率の計算方法
結索部の強度÷(体重+単価kN換算)
ロープをダブルで使用した場合、強度は2倍にはならない。1.7倍となる。